
ファッションのもつ軽さ明るさ
晴れた。 晴れると気持ちも晴れやかになる。 春物の衣類を何か新調しようと、服屋に行った。 春の服は良い。 着られる期間は短く、明るくて、軽くて、薄くて、まるで気分のために存在しているようだ。 ノンキな見た目の店員が話しかけてきて、今年の春は少しくすんだパステルカラーが流行色ですと空色のカーディガンを持ってきた。 そのカーディガンは祖母が生前、毎日来ていたものと同じ色だった。 祖母はよく衣類をプレゼントされ衣装持ちだったが、新しい服が手に入るといつも 「これは婆さんになってから着る」 と言ってタンスにしまいこみ、毎日くすんだ空色のカーディガンを着ていた。 101歳で祖母が亡くなってから、私は母と一緒に祖母のタンスをひきだしをのぞいて、色とりどりの洋服たちを見て、おばあちゃんはいったい何歳になったら婆さんになるつもりだったんだろうと笑った。 毎日服のコーディネートを楽しみ、新しいきれいな服を着る幸せもあるが、 祖母のようにタンスの中に新しいきれいな服を着る未来をいつでも持っているというのは、まさに気分のために服が存在するということで、一つの美しいファ

不思議な天気
寒い。
寒の戻りと言うものだそうだ。 昨日は東京にも雪が降って、桜の花びらが散っているのだと思ったものが雪で、雪が積もったと思ったのが植木の葉の上に散りばめられた桜の花びらであった。 自転車に乗っていると胸のあたりをドンと殴られるような寒さだ。春は、情緒が不安定な友人のようだ。ふざけ方に手加減がない。 スーパーの二階の本屋で川上弘美のセンセイの鞄を買う。 湯船の中で読みながらKのことを思い出す。 夜が似合う本と本が似合う友人は、人生に必要な物だとかなんとか考えて、髪の毛を乾かしていたらKからひさしぶりにメールが来た。寒くて風邪をひいたということと、高野文子のドミトリーともきんすが面白かったという話。偶然も、人生に必要な物だ。 Snowflake is similar to the petals of cherry blossoms.