もっと本気の散歩を
台風が過ぎた朝の落下物で、その道沿いにどんな植物が生えているのかを確認する。
下を向いて歩いている。
駅までの道にはどんぐりと豆がたくさん落ちていた。
駅前通りに豆が生えていたとは知らなかった。
見ているようで見ていない物が沢山ある。もっと本気で散歩をしなくてはならない。
町田で乾物屋を見て回る。町田街道には乾物屋が多い。
製菓材料を多く取り扱っている店で、小麦粉の棚を見る。種類の違う小麦粉が何十袋もひしめき合っている。私にその違いはわからない。
秋葉原の抵抗屋や合羽橋の包丁屋などを冷やかしたときと同じような体温の高まりを感じた。
知らない知識の気配が充満している集合体は美しい。無知な私は散歩のなかでそのような快感が多い。ひとつひとつの商品に細かな字で書かれた説明書きを読む事も楽しい。ものを知る事とものを知らない事は幸せだ。
Uちゃんと上島珈琲でスパイスの入ったコーヒーを飲みながら頼み事の交換。
うまくいけば数ヶ月後にふたつの面白い物が生まれるかもしれない。
丸井でドライフルーツのミックスを買って帰ることにした。
レジの横でUちゃんに
「アレ?太った?そんなにお腹出てた?」
と指摘される。
し、姿勢の問題じゃない?とごまかしたけれど、はい、私は確かに太りました。
散歩の途中で見かけたプロレスラーたちのむちむちした肉を思い出しながら腹部を揉みしだき、帰路につきました。
心身ともにもっと本気の散歩が必要だ。
I found wrestlers while taking a walk.